近畿化学協会

ものづくりプロセス基礎講習シリーズ

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第3回ものづくりプロセス基礎講習シリーズ
「表面化学技術者のための実践基礎講習」

PDF版プログラム

主催 近畿化学協会
協賛 表面技術協会、日本材料科学会、大阪科学技術センター、
日本接着学会、日本化学会近畿支部、化学工学会関西支部、
応用物理学会関西支部、 電気化学会関西支部、高分子学会関西支部<予定>

 化学製品の製造プロセスについての基礎的な理解を深めることは、製品開発に携わる研究者・技術者にとって重要な事項です。近年、社会のニーズにともない、多くの分野で必要とされる技術は高度化・多様化し、若い技術者も様々な新しい知識や技能の習得が必要とされています。そこで近畿化学協会では、知識の再構築やリカレント教育の要素も含め、広い意味での化学産業を支える「ものづくりプロセス基礎講習シリーズ」を開催しています。第3回となる今回は「表面」をテーマとして、表面で起こる事象の基本的な理解と、表面処理の分野における重要な幾つかの方法論や解析についての基礎や応用に対する新たな学びの習得を目的としています。
 今回の講習では、①分子の視点からの理論的理解、②金属の表面(電気化学的表面処理を中心として),③高分子の表面(接着、解析を中心として)、の3テーマについてそれぞれ1日ずつの計3日間のプログラムとなっています。受講者は3日間の受講あるいは必要に応じてご希望のプログラムのみの受講も可能です。いずれも本分野の第一線でご活躍中の皆様を講師にお招きし、講習会を企画致しました。奮ってご参加下さい。  

日時 (1日目) 2024年11月5日(火)10:00~18:30
(2日目) 2024年11月11日(月)9:30~18:30
(3日目) 2024年11月13日(水)9:30~18:30
開催手段 (1日目) 対面(会場:京都大学福井謙一記念研究センター)
<京都市左京区高野西開町34-4>https://www.fukui.kyoto-u.ac.jp/access_ja
(2日目、3日目)ハイブリッド(対面 or オンライン)
①対面:大阪科学技術センター605号室
<大阪市西区靱本町1-8-4>https://www.ostec.or.jp/access.html
②オンライン(zoomによるweb配信)
プログラム

1日目:(テーマ1)分子の視点から理論的に理解する
【11月5日(火)講習会10:00~16:00 / 見学会16:00~17:00 / 交流会17:00~18:30】
1.分子軌道理論の基礎についての講習 (10:00~12:00) 
     京都大学福井謙一記念研究センター 研究センター長 佐藤  徹 氏
 分子や固体は電子と原子核から構成されており、表面化学をミクロなレベルで議論する上でこれらの運動を理解することは不可欠です。一つの電子の状態を記述する波動関数を軌道とよび、分子中の電子の軌道を分子軌道、結晶中の電子の軌道を結晶軌道と称します。本講習では、まず、分子構造によって分子軌道がどのように構成されるかを説明する軌道相互作用の原理について解説します。

2.表面を分子レベルで理解する考え方(13:30~14:30)
     京都大学福井謙一記念研究センター 研究センター長 佐藤  徹 氏
 結晶や表面では周期的構造を反映して電子の軌道エネルギーはバンド構造を形成します。本講習では、バンド構造が形成されていく様子を軌道相互作用の原理に基づいて解説し、吸着分子と表面の軌道の間の軌道相互作用に基づき吸着を説明します。また物質のもう一つの構成要素である原子核の振動を電子状態とともに考えることで、軌道描像よりもさらに明確に反応の領域選択性を説明することのできる振電相互作用密度の概念について解説します。

3.不均一系触媒表面上での化学吸着反応(14:45~15:45) 
        京都大学福井謙一記念研究センター 特定助教 大田  航 氏
 近年、量子化学計算により、固体表面の電子状態や振動状態の微視的な理解が可能になってきました。また、それにより、理論先導での材料設計・開発の進展が期待されます。本講習では、不均一系触媒(自動車触媒, 光触媒)表面上での化学吸着反応を例として、量子化学計算によってどのようなことが分かるかを紹介します。

京都大学福井謙一記念研究センター見学会(16:00~17:00)

交流会(17:00~18:30) 参加無料

2日目:(テーマ2)金属の表面:電気化学的表面処理を中心として
【11月11日(月)講習会 9:30~17:00 / 交流会17:00~18:30】
1.金属表面処理にむけた電気化学緒論(9:35~11:05)
              京都大学大学院工学研究科 教授 邑瀬 邦明 氏
 電気めっきやアノード酸化を使って素材の表面処理を行う場合や、金属素材の腐食・防食を議論する場合には、電気化学的な思考が不可欠です。一方で、化学熱力学、反応速度論、物質移動論、電磁気学をひとまとめに扱う電気化学は、いくぶん近づきがたい学問です。本講習では化学熱力学を中心に「電極電位」「電解と三電極法」「電位-pH図」「水素発生」など、水溶液系の電気化学の入り口部分を振り返ります。

2.電気めっきおよび無電解めっきの基礎と応用(11:10~12:20)
   (地独)大阪産業技術研究所 電子材料研究部 総括研究員 小林 靖之 氏

 古くから知られるめっきは,皮膜を形成する表面処理技術にとどまらず、孔を埋める、形を造る、など様々な分野に展開され,工業的に重要な基盤技術の一つになっています。本講習では,湿式めっきの2つの代表的な方法,電気めっきと無電解めっき,について工業的観点から基礎を概説するとともに,エレクトロニクス実装分野を中心にめっき技術の適用事例を紹介します。

3.金属材料の腐食・防食(13:40~14:50)                   
              大阪大学大学院工学研究科 教授 土谷 博昭 氏
 橋梁などの社会インフラの腐食による劣化が社会問題となっています。そのため金属材料の腐食現象を理解し、防食に活かすことが期待されます。本講習では腐食・防食における電気化学の基礎を概説するとともに、鉄鋼材料を中心に腐食・防食の原理を説明いたします。

4.陽極酸化による材料表面加工の基礎と応用(14:55~16:05)
             京都大学大学院工学研究科 准教授 深見 一弘 氏
 陽極酸化は金属や半導体材料の表面を加工する電気化学的手法の一つです。陽極酸化によって表面に緻密な酸化被膜を形成することで耐食性の表面を形成することができます。また、ポーラス化させて表面を着色し、意匠性を付与することもできます。本講習では陽極酸化の基礎を電気化学の観点から概説し、実用化されている事例を紹介します。

5.自動車に関わる湿式めっき概要、及び装飾めっきのトピック(16:10~17:00)
            日産自動車株式会社 材料技術部 主担 菅原 宗一郎 氏
 自動車が世界に普及してから長年の間、防錆や装飾の目的で、各種の湿式めっきが用いられて来ました。その後、自動車の高性能化に伴って、各種オーディオや安全関連などの目的で増加した電子電装部品や、電気自動車の動力源としての強電部品(モーター関連部品など)の用途としても、湿式めっきは必要不可欠な技術となっています。本講習では最初に自動車に用いられる湿式めっきの概要や課題、ならびに装飾めっきに焦点を当てたトピックを紹介します。 

交流会(17:00~18:30) 参加無料 

3日目:(テーマ3)高分子の表面:接着、解析を中心として
【11月13日(水) 講習会9:30~17:00 / 交流会17:00~18:30】
1.接着・剥離のため高分子表面をどう考えるか
(9:35~11:05)
               神戸大学大学院工学研究科 教授 西野  孝 氏
 さまざまな異種素材を組み合わせる手段として接着が注目を集めています。むろん化学・物理の原理に則って接着している訳ですが、高分子に特徴的な事項の理解が重要となります。本講習では、高分子を対象に、表面や界面はどのようになっているのか、接着させる/接着させなくするために表面をどのように考えるか、の原理について事例を挙げることで具体的に解説します。

2.高分子材料の接着・非接着に寄与する表面状態と処理方法
(11:10~12:20)
                 京都工芸繊維大学 特任教授 松川 公洋 氏
 高分子材料には、その化学構造により、接着し易いもの、接着し難いものがあります。そのため、使用目的に応じて、表面状態を制御しなくてはなりません。接着性を向上させるには、極性基や表面粗さを表面に付与し、接着性を低下させるには、非極性分子を結合させるなどの方法があります。本講習では、接着性に寄与する様々な表面処理について紹介します。

3.高分子表面/界面の分析・評価 -原理と応用-
(13:40~14:50)
     旭化成株式会社 基盤技術研究所 リードエキスパート 菊間  淳 氏
 高分子材料の表面を正しく理解することは、親水性/疎水性、密着性/剥離性、耐候性、生体適合性など、様々な機能を有する材料開発において極めて重要です。本講習では、表面分析の代表的な手法であるTOF-SIMS、SPM、XPSを中心に、測定原理から実材料への応用例、最近の技術動向までを、わかりやすく解説します。

4.さまざまな接着剤・粘着剤の基本構成と接着メカニズム
(14:55~15:55)
  リンテック株式会社 研究所イノベーション推進部 上席研究員 杉崎 俊夫 氏
 接着・粘着の原理については一般的に「投錨効果」や「分子間力(ファン・デル・ワールス力)」と言われていますが、被着材間の界面の相互作用は単なる「投錨効果」でなく、界面現象、特に「ぬれ」が重要な役割を果たしていると言われています。本講習では「ぬれ」を踏まえて接着剤・粘着剤の化学的な組成とその役割に関して説明します。

5.プラズマによる高分子の表面処理と接着性向上
(16:00~17:00)
              大阪大学大学院工学研究科 准教授 大久保 雄司 氏
 「プラズマとは?」「プラズマ処理と他の表面処理との違いは?」から丁寧に説明しますので、表面処理に馴染みがない方も安心して聴講可能です。そして、プラズマ処理によって高分子の接着性を向上する際に重要となるポイントについて、フッ素樹脂に対するプラズマ処理の事例を交えながら解説します。

交流会
(17:00~18:30) 参加無料

定 員 80名<各回>(定員になり次第締切)
※2日目・3日目の対面参加は 定員40名
参加費 主催・協賛団体会員:1日のみ 20,000 円、2日間 34,000円、3日間 42,000円
大学・官公庁職員 :1日のみ 10,000 円、2日間 18,000円、3日間 24,000円
学生 :1日のみ 5,000 円、2日間 9,000円、3日間 12,000円
会員外 1日のみ 26,000 円、2日間 44,000円、3日間 54,000円
(いずれもテキスト代・消費税含む)
※原則、開催日までのお支払いをお願いしております。
申込方法 Web参加申込フォーム】からお申込み下さい。

※どちらか1日(1テーマ)だけの参加も可能です。1日のみ参加の方は、受講日を明記下さい。
※*2日目・3日目に参加される方は、対面参加かオンライン参加を明記下さい。
※参加費は、銀行振込(三井住友銀行備後町支店 普通預金No.1329441 一般社団法人近畿化学協会)、郵便振替(00930-5-64179 一般社団法人近畿化学協会)のいずれかでお願いします。(振込手数料は参加者でご負担願います。)
※オンライン参加者には、開催の約1週間前にE-mailにてWEB配信の聴講方法をご連絡します。
※テキストは、各回の3~5日前頃に送付させていただきます。
※お申込後のキャンセルは 10月25日(金)までにお願い致します。期日までにご連絡がない場合は、参加費を頂戴致します

注意事項 ※オンライン配信ツールは「Zoom」を利用します。
※パソコン・タブレット等、聴講(受信)に必要な機材や設備は各自でご準備ください。
※オンラインにより配信される講演内容の著作権は発表者に帰属します。講演の録画・録音は固く禁止します。許可なく資料を録画・録音・複製して第三者への譲渡、無断でSNS等に公開すること、2名以上で同時に視聴することはお控え下さい。これらの行為を発見した時は、接続を強制的に切断させていただくことがあります。
申込・問合先 一般社団法人 近畿化学協会 「ものづくりプロセス基礎講習シリーズ」 係

〒550-0004 大阪市西区靭本町1-8-4 大阪科学技術センター6階

TEL.06-6441-5531/FAX.06-6443-6685/E-mail:seminar(atmark)kinka.or.jp